獣がい対策で
農村の未来を創る

代表理事 鈴木克哉

2015年5月22日さともんを設立して、丸5年が経ちました。あっという間の5年間。日頃からお世話になっている皆さま、本当にご支援ありがとうございます。

5年経過しましたが、全国的には獣害はますます深刻化していますし、人口減少・高齢化も進行していく日本の農村。

一方で、農村には将来に継承したい豊かな「里の恵み」や自然と調和した人の暮らしがあります。丹波篠山市に住んで、地域とのかかわりを深めれば深めるほどそのことを強く感じさせてくれます。

全国的に深刻な課題となっている獣害を切り口に、獣害対策をきっかけに、今までなかった新たな交流を生み出し、地域を支援しながら、守り伝えたい地域の魅力をみんなで共有・発信していく。獣害を解決しながら地域の活性化までを支援していく。そんな新しい「獣がい対策」のモデルを丹波篠山市から発信したい。

さともんは、そういう想いでこれまで活動してきました。

設立当初から試行錯誤を繰り返しながらも、最近は、主に2地域をフィールドに、都市部から繰り返し地域に通っていただきながら、獣害対策の支援活動のほか、耕作放棄地の有効活用や農産物(黒豆・山の芋・お米)の価値向上を目指した活動(黒豆オーナー川阪オープンフィールド)を展開し、集計してみると、2019年度は1年間で延べ444人が丹波篠山に来て活動に参加していただくまでになりました。

また、丹波篠山市との連携を深めながら「獣がい対策実践塾」や「獣がいフォーラム~多様な担い手が未来を創る~」の運営に携わり、被害を受ける当事者だけでなく、市内高校生や都市住民など被害地域内外の多様な人材参画を目指した新たな担い手づくりを行ってきました。2019年には、地域主体の獣害対策の先第一人者であり、近年は新たに美郷バレー(=鳥獣害版シリコンバレー)構想を目指す島根県美郷町と連携協定を結び、地域を元気にする「獣がい対策」のネットワークを広げようとしています。

6年目に突入して、さぁ、これからさらに拡大してやっていこうという2020年。新型コロナウイルスの余波を受け、活動を自粛せざるを得ない状況となり、非常に歯がゆい思いをしていましたが、なんとか緊急事態宣言が解除され、感染再拡大に十分注意して対策をしていかなくてはならないものの、活動再開をしていけそうな目処がたってきたことは、うれしい知らせです。(皆さま本当にさまざまな自粛ありがとうございます)

今回新型コロナウイルスにより、今後様々な社会変化が予想されており、新たな暮らしやビジネスの場所として農村や地方都市が注目されています。

地域には開かれた疎の空間がたくさんあり、そこでのリアルな体験や身体性を伴う活動の価値がますます高まってくると思います。

一方、農村側としては、獣害だけでなく、地域や環境を維持していくうえでの課題もたくさんあります。今は注目される「疎」がこれまでは課題だったわけですから。

これから高まる需要と地域の課題解消をどう結びつけるか、そのときにどのような価値観を大切にするのか、どういう地域にしていきたいのか、今後のビジョンが一層求められると思います。

6年目を迎えたさともんの新しい理念は
「獣がい対策で農村の未来を創る」 です。

理念を実現するために、以下の3つのミッションを掲げています。
① 地域の方々に対して “地域の夢のお手伝い”
➁ 支えていただく皆さまへ “喜びをわかちあうあたたかい人の繋がりを拡げる”
➂ “多様な人材参画によるCo-Creation(共創)の促進”

共感していただける皆さまとともに、さともんは、新しい時代の地域支援、丹波篠山の恵まれた環境を活かした、都市と農村のより良い関係性を模索していきたいと思います。

皆さま、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

2020年5月22日

特定非営利活動法人里地里山問題研究所
代表理事 鈴木克哉