獣がい対策で農村の未来を創る
日本の里地里山には、豊かな自然と調和した人の暮らしがあり、長年継承されてきた伝統・文化があります。また、熟練した生産者によって育まれる新鮮かつ良質な農林産物は、私たちの豊かな食生活や暮らしを支えてくれています。
ところが近年、このような豊かな里地里山の暮らしの継承が脅かされています。各地の農山村でサルやシカ・イノシシ等の野生動物による「獣害問題」が深刻な問題となっているからです。とくに山際に立地している地域は野生動物の被害にあいやすく、獣害対策を行うために大変な苦労を強いられています。さらに押し寄せる高齢化や人口減少、後継者不足の問題もあり、獣害対策を継続的に行っていくための気力や労力もままならない状態となっている地域も少なくありません。
野生動物による農業被害金額は約158億円(農林水産省2019)。地域の農林業に与える経済的な被害の深刻さは言うまでもありませんが、無視できないのは、集落内に野生動物が出没することで受ける日常生活への影響や、地域の高齢者の皆さんが日々丹精込めて栽培している自家用農業に対する被害です。
今、獣害が日本の農村でもっとも深刻な課題として認識されていますが、それは被害金額で表される経済的な影響だけではありません。野生動物による負の影響は農地だけではなく、住民の安全・安心に関わることから、農村生活の豊かさに及ぼす被害まで多岐にわたっています。
懸命に農作業をしても繰り返し野生動物に荒らされれば、自分の畑で収穫するというささやかな喜びは次第に失われてしまい、これまで耕し続けた畑を手放す農家が増えてきます。ただでさえ、人口減少や高齢化が進行している農村では、獣害対策の担い手も不足しているのに、さらに担い手が減って十分な対策が実施できなければ、被害はますます深刻になり、離農者がもっと増えてしまします。
農村に魅力を感じ、移住して新規就農した若者も、「こんなところで農業はできない」と夢をあきらめて村を去っていく。その結果、ますます農村は疲弊していく。獣害は営農意欲の低下はおろか、農村の持続性そのものを脅かす問題となっています。
このままでは豊かな農村の未来が失われてしまうかもしれない・・・。
そこで私たちは、人口減少・高齢化する農村社会の持続可能性が危惧されるなか、生活基盤を脅かす深刻な課題となっている「獣害」問題に対して、多様な人材が協力して地域を元気にする新しい「獣がい対策」のモデルを創り、その方法を全国に拡げていく活動を行っています。
本来は豊かな里地里山の構成員である野生動物を地域にとってプラスの存在に変えて、人と野生動物が共生する魅力ある農村の未来を創り、次世代に継承します。
里地里山の豊かな自然とそれらに調和した人の暮らし・営みを継承していくために、最前線で獣害に立ち向かう地域・人々の取り組みを、さまざまな人で支え合うしくみづくりを行います。
団体概要
名称 | 特定非営利活動法人 里地里山問題研究所(さともん) Research Institute for SATOMON Sustainable Advancement of Traditional Outlying and Mountainous Neighborhoods |
設立日 | 2015年5月22日 |
代表理事 | 鈴木 克哉 |
副代表理事 | 清野 未恵子 |
理事 | 垣内 敬造 川井 正幸 高根沢 均 |
事業内容 | 1)地域が取り組む獣害対策や里地里山保全活動の支援にかかわる事業 2)獣害をはじめとする里地里山問題の解決に向けた地域の取り組みや成果の発信に関する事業 3)地域の獣害及び里地里山の恵みをわかちあい交流を深めるためのイベント・ツアー・交流施設等の運営に関する事業 4)獣害対策関連商品及び里地里山の農林産物の販売に関する事業 5)獣害問題の解決や持続可能な里地里山づくりに関する研究開発事業 6)里地里山の豊かな自然や伝統的な文化・人の営みを題材とした子育て・子育ちを支援する事業 7)人と野生動物が共生する社会の実現に貢献する事業 8)農山漁村の振興に貢献する事業 9)その他当法人の目的を達成するために必要な事業 |
連絡先 | メールアドレス:info @ satomon.jp |
協賛企業・団体