第6回獣がいフォーラム②

第6回獣がいフォーラムでは市外からも多くの方が参加くださいました。北海道から参加してくれた北大の伊藤泰幹くんは、フォーラム終了後も篠山に滞在し、さともんの活動に参加してくれました。

獣がいフォーラムについて↓のような意見を寄せてくれましたので紹介します。

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今回のフォーラムに札幌市から参加させていただいた北海道大学大学院生の伊藤と申します。札幌市では、クマの市街地出没が社会問題となっており、その解決に市民の関心が高まっています。私自身、都市におけるヒグマの出没問題を研究する中で、問題には、市民の認識や営みが大きく影響していると感じていました。そこで今回、先進事例として知られる獣がいフォーラムに参加させていただきました。

参加する前から、「放置柿を使ったレシピ」や「集落柵の点検ツアー」などフォーラムの話題の幅の広さに驚きました。その疑問はフォーラムを聞いてほんの少しだけ、わかったような気がしました。また、集まった参加者の多さにも驚きました。

【大きな目標を設定しなおすことの大切さ】

今回のフォーラムでは、地域での価値創造に関する話題が多くのぼっていました。とりわけ、獣がい対策をあえて主たる目標に置かずより大きな目標を掲げていたことが印象に残っています。例えば、鈴木さんの「さとえーる」の話題提供からは、「獣がい対策」や「野生動物との共生」が地域外の人々、とりわけ都市に住む市民にどれくらい伝わるのかといった課題が挙げられていました。

そのため、「野生動物との共生」や「獣害のない地域づくり」と設定するのではなく、より大きな目標である「子どもたちの未来へつなぐ里山応援プロジェクト」と設定しなおすそうです。そうすることで、より多くの賛同者を得て、連携自体が進みやすくなります。会場の人の多さや、テーマの幅の広さにも納得がいきました。

佐藤先生が紹介していた札幌市の事例でも、「クマ出没対策としての草刈り」よりも、地域の人々と集まって「ビンゴ大会」をする例が挙げられていました。間口を広くとることで、獣害以外にも多様な価値を求める人材が集まり、結果として地域の社会問題が解決されていくそうです。

「野生動物との共存」は、多くの都市の住民がポジティブなイメージを持つような言葉です。でも、「共存」を一方的に押しつけるだけでは地域が疲弊していってしまう…。また、それ自体に関心がある人にアプローチするのはなかなか難しい…。そんな中で、解決するゴールを「獣害をなくす」ことから「持続的に暮らすことができる地域づくり」に再設定しなすことで、結果的に野生動物にも強い持続的な地域を維持することにつながるのではないかと感じました。

ついつい、野生動物を対象としていると、問題のゴールを「野生動物との軋轢の軽減」や「個体群の保全」に設定してしまいがちですが、そうでない解決方法を学ぶことができ、気付きを得ることができました。

まだまだ頭の中で考えがめぐっていますが、今回得たことを札幌に持ち帰って考え続け、研究や実践に生かしたいと思います!