第4回獣がいフォーラム開催!

主催 丹波篠山市獣がいフォーラム実行委員会 後援 篠山ロータリークラブ

第4回獣がいフォーラム~多様な担い手が未来を創る~

2022年1月10日(祝)丹波篠山市民センターで第4回獣がいフォーラム~多様な担い手が未来を創る~が開催されました。

今年で4回目のこのフォーラム

地域に与える負の影響から「獣害」と表記されることが一般的ですが、本来、野生動物は豊かな里地里山の構成員であり地域の魅力の一つです。また、人口減少・高齢化社会が迫る現在、確実な手法で「害」を軽減するとともに、地域を活性化していく新たな対策が必要です。

このフォーラムでは、参加者と共に、魅力ある地域を守るために、被害を受ける当事者だけでなく地域内外の多様な関係者が協力できる仕組みをつくり、野生動物を地域にとってプラスの存在に変えていく対策(獣がい対策)を考えます。

今年は会場参加とオンライン参加(YouTubeライブ視聴)のどちらかで参加できるハイブリッド方式での開催となりました。

オンライン参加は事前申込で約200名ほどの参加申込をいただきました。

会場参加は地域住民の方が中心で近郊からの参加が前提ですが、正直何人来場してくれるか、大変心配でしたが、130名ほどの方に来場していただきました!

酒井隆明丹波篠山市長の開会挨拶からスタートです!

酒井隆明丹波篠山市長の開会挨拶

丹波篠山市のこれまでの獣害対策の取組を振り返りつつ、地域を活性化する平仮名表記の新しい「獣がい対策」を進めていき、全国のモデルになっていく、そんな意気込みを語っていただきました。

第1部『地域外人材を活用した獣がい対策』

第1部の最初は丹波篠山市が令和2年度に策定した「獣がい対策推進計画」についての説明です。

丹波篠山市農都整備課 安井直哉係長の発表

「獣がい対策推進計画」では獣害対策のみを目的とせず、「活気ある集落を増やして、人が集まる魅力ある丹波篠山にする」を最終目標としています。

丹波篠山市獣がい対策推進計画

そのために、①獣害をゼロにする 以外に、②地域に生きがい・やりがい・笑顔をプラスする、③獣害対策に取り組む農家の所得・意欲を向上させる、④獣がい対策への関係人口を増加させる、以上4つのミッションを定めており、こうした獣がい対策推進計画の内容について、説明されました。

その中でも関係人口の活用はすべてに関わる重要なミッションです。

そこで、具体的な『地域外人材を活用した獣がい対策』について2つの事例報告がありました。

神戸大人間発達環学研究科 清野未恵子准教授の発表

神戸大人間発達環学研究科 清野未恵子 准教授からは『獣害柵点検を楽しく!地域外人材とコラボした獣がい対策の可能性~丹波篠山市畑地区の取り組み~』と題して、丹波篠山市畑地区で取り組まれている「さく×はた合戦」という外部人材と地域が共に獣害柵点検に取り組む事例について報告されました。

特定非営利活動法人里地里山問題研究所 鈴木克哉代表理事 の発表

続いて、特定非営利活動法人里地里山問題研究所 鈴木克哉 代表理事から『クラファンでそば畑を守る!新温泉町春来区の取り組み』と題して、クラウドファンディングを活用して地域外から資金を集め、獣害に苦しむ集落のそば畑を再生させた事例について報告されました。

第2部『新たな担い手による獣がい対策の可能性』

続いて、第2部はパネルディスカッションです。これまで獣害対策の当事者ではなかった新たな人材による獣がい対策の実践事例を通じて、これからの新たな担い手による獣がい対策の可能性について議論します。

大山小学校 教諭 前川桂大先生の発表

最初の報告は大山小学校の取組です。

大山小学校ではふるさと教育として、5年生6年生が地域の特産品である大山スイカの栽培に取り組んでいますが、ここ数年は鳥獣害でほとんど収穫ができない状態になっていました。

そこで、子どもたちが収穫の喜び、美味しい地域の特産品の大山スイカを守るために取り組んだ獣がい対策の取り組みについて取り組んだ結果、被害はゼロ!に。

子どもたちがその取組の成果を発信し、被害に苦しむ地域の人にも伝えようと制作してくれた動画を発表してくれました。

篠山東雲高校3年 長澤碧唯さんの発表

次は篠山東雲高校3年 長澤碧唯さんによる『かき茶ロール~おいしく食べて獣がい対策!放任柿の有効活用~』

丹波篠山市で開催された「獣がい対策実践塾」に参加したことをきっかけに、サルなどの野生動物を誘引する原因となっている放任柿の有効活用について自ら思案。放任柿と特産の丹波茶を使ったロールケーキ「かき茶ロール」のレシピを考案し、市内の洋菓子店で期間限定で商品化もされた経緯や開発に至った想いについて発表してくれました。

京都府立大学1年 藤木健太さんの発表

続いて、京都府立大学1年 藤木健太さんによる『丹波篠山市の若者が獣がい対策を通じて考えたこと』

丹波篠山市内高校生のときから「獣がい対策実践塾」に参加するだけでなく、今も毎週のようにさともん(里地里山問題研究所)の活動に参加してきた経験から、生まれ育った丹波篠山に対する想いや、多様な人材が協力しながら進める獣がい対策から学んだこと、後輩に伝えたいことなどを報告してくれました。

篠山ロータリークラブ 木南稔彦 会長 小林信通 社会奉仕委員長 の発表

最後に、篠山ロータリークラブの『獣がい対策実践塾と丹波篠山ロータリークラブ』

2021年篠山ロータリークラブは社会奉仕事業として丹波篠山市の「獣害対策支援による地域の農業支援事業」に取り組んでいて、その一環としてロータリークラブメンバーも高校生や大学生などの若者と一緒に「獣がい対策実践塾」に参加しました。その様子含め、さともんが展開する黒豆オーナー制度の、企業向けの新しい会員制度の検討や、丹波篠山市の獣がい対策を広めていくための動画・パンフレット作成など、本事業の内容について報告していただきました。

報告者によるパネルトーク

各演者の報告後、全員でパネルトークを行いました。

これまで獣害問題の当事者は山際の高齢の農家が主でしたが、今回ご報告いただいたのは、小学生から高校生、大学生まで若い世代や企業の方々です。これまでは身近な問題ではなかったですが、新たに獣害問題の事を学び、自分で取り組んだり、自分にできることを考えて実践する、そういう人材が生まれてきたことは大きな変化と言えます。

獣害問題は農村問題の縮図であり、農村が抱えるさまざまな課題を知ることができます。一方で、また地域との関係性を深めるほど地域の魅力や人の温かさに触れることも多く、潜在的なものも含めて地域に魅力的な資源が多くあることに気づかされます。

獣害の軽減と地域活性化の両立のためには、いろんな人材の参画やさまざまなアイデアが必要で、それは逆に言うと非常に面白いテーマ性を孕んでいるとも言えます。

一方で難しいのは、「獣害」という言葉やイメージです。当事者ではない一般の方からすると、どうしても自分とは遠い関係のない世界のような印象を与えてしまいます。

「獣がい対策実践塾」のように、これまで当事者ではなかった人材にこうした問題に触れてもらう機会を作っていくことや、この「獣がいフォーラム」の内容をより多くの方に発信していくことが重要だということを改めて確認しました。

会場に参加してくださった約130名の皆さんも、大変熱心に議論に耳を傾けてくれました。オンライン参加の方含め、こうした取り組みをもっと多くの方に知っていただくための努力がますます必要だと認識しました。


第4回獣がいフォーラムの様子は新聞各社に報道していただきました。

1月11日朝日新聞
1月11日 読売新聞
1月13日 神戸新聞
1月13日 毎日新聞
1月13日 丹波新聞