「獣害から地域を守る」丹波篠山黒豆オーナー

NPO法人里地里山問題研究所(さともん)では、農村と都市が連携して地域の獣害対策を支援しながら、耕作放棄地を活用して特産品の黒豆畑を再生するプロジェクト「『獣害から地域を守る』丹波篠山黒豆オーナー」を2017年から丹波篠山市安口・川原の両集落で開始しています。

きっかけは獣害に悩む地域からの相談でした。集落の周囲にはシカやイノシシの侵入防止のための金網柵を設置していますが、封鎖できない道路があり、夜になるとシカが侵入し深刻な被害を発生させます。そのせいで柵の開口部付近の田畑は放棄され、シカが人に見つからずに忍び込み、見つかった際に真っ先に逃げ込む「隠れ場」「逃げ場」となっている現状も分かりました。

そこで、さともんは地域の方と協議をし、シカやイノシシの隠れ場・潜み場となっていた約40aの耕作放棄地を黒豆畑やコスモス畑に変え、野生動物が近づきにくい環境づくりを行うこととなりました。

といっても、高齢化する地域では人手が不足しています。そこで、都市部から趣旨に共感していただける方にオーナーになっていただくことで、農村と都市が連携して「獣害から地域を守る」新しい対策のモデルづくりを行う当企画が生まれました。

オーナー制度の内容は、試行錯誤しながら変化してきていますが、2019年度からは1口12,000円で5株の黒豆オーナーになっていただき、10月中旬、10月下旬、11月中旬、12月中旬と4回に分けて獣害から守った黒豆をお届けします。

丹波篠山の黒大豆枝豆は例年10月初旬に解禁日を向かえ、10月中旬あたりが旬な時期となりますが、多くの地元の方に好まれるのは10月下旬のコクや旨味が凝縮された黒枝豆です。さらに11月頃の黒豆は乾燥して少し硬くなりますが、味が深まりとても美味だということはあまり知られていません。時期が深まるにつれて外鞘が茶色く変色して、販売するには見た目が悪くなっていくので、11月頃の黒豆が市場に出回っていることはほとんどないからです。そしてこの時期の豆で炊く黒豆ごはんは最高!まさに生産者の特権!ともいえる豆。そして最後に定番のおせち料理などに喜ばれる乾燥黒豆をお送りします。黒枝豆からお正月用の黒豆(乾燥黒豆)まで、季節が深まるほどに変化していくその味を食してみれば、美味しさにとりこになってしまうシカの気持ちがわかるかもしれません。

現地にお越しいただける方には、①苗植え、②収穫、③選別、④黒豆みそづくり、など計4回のオーナー限定イベントを別途用意しています。各回のイベントは食事付。黒豆はもちろん、夏野菜やジビエ、地元産の美味しいお米など地域食材や資源を使った内容となっているほか、地域の方々と交流しながら、獣害の状況や農村暮らしの課題、それでも守っていきたい地域の豊かな資源や魅力について、意見交換をしていきます。

 イベント以外にも2週間に一度ボランティアで集まって、黒豆栽培のほか、防護柵のメンテナンスなど地域の獣害対策のお手伝いをしていきます。参加すればするほど、獣害対策や黒豆栽培の苦労を知るとともに、みんなで力を合わせてシカから守った黒豆を収穫する喜びが味わえます!

 また、遠隔地の方でも現場の様子が分かるようにSNSで黒豆の生育状況、野生動物の出没や対策の状況、台風や大雨などの影響、四季折々の地域の魅力など随時情報発信しています。「手をかければかけるほど美味くなる」といわれる丹波篠山の黒豆がどのように栽培され成長していくのかその過程やドラマを知っていただけます。

過去の参加者からは「毎回情報を発信して頂くことで黒豆の生長や作業のご苦労を知り、実際に収穫して食べた黒豆は未だかつて食べたことのない美味しい黒豆でした!!獣害対策についても色々学ぶことができ、日本の農業や伝統食を守る活動の大切さを痛感しました。」「今まで黒豆は高いと思っていたけど、もっと高くてもよいと思った」などの感想をたくさんいただいており、リピーターと地域との交流も深まりつつあります。

丹波篠山の特産品である黒大豆の栽培農家は60-70代が主です。高齢化する地域社会において獣害対策の負担は今後ますます増し、特産品の担い手の減少が心配されます。黒豆オーナー制度をきっかけに、獣害対策や黒豆栽培の苦労を知りながら、地域内外の多様な人材が協力しあって地域の魅力を発見し、恵みをわかちあう。そんな人と人とのつながりで豊かな里地里山を守っていきたいと考えています。

ただいま黒豆畑を準備中です!