「丹波の森ワイルドライフ講座」4日目(最終日)
3泊4日で中学生から高校生、社会人まで若い世代が、人と野生動物の共生をテーマに学びを深めていきます
いよいよ最終日4日目は早起きをして、ニホンザルの行動観察へ
丹波篠山市では5群のニホンザルが生息していますが、すべてに発信器が装着されており、位置情報を把握、地域の農家さんへ情報伝達しています
参加者も受信機・アンテナを持ってサルの位置調査へ。
電波が強く入る方角に向けて進んでいくと・・・
「サルがいる」
道路に1頭出てきているサルを発見!昨日学んだ性年齢判別法を思い出し、オトナオスであることを確認。
その道路を群れが渡りそうだったので、車で配置についていると、予想どおり群れが道路を渡り始めました。
途中でサルの出没に気づいた地域の方が追い払いをされたので、その後サルがどう反応するかについて観察していると、既に渡ったサルたちが鳴き声を交わし、まだ少しルートを変えて、残りの個体も道路を渡っていくことを観察できました。
サルの個体数を数える調査をしていても、地域で被害を出している以上、地域の被害対策を優先して考えなければいけません。
このようなケースは結構あるので、現場のリアリティを感じてもらえたのではないかと思います。
さらに、帰りにもう1群も観察できるというラッキーな日となりました
ラッキーといえば、2日目に設置したセンサーカメラです。
翌日には何も映っていなかったので残念でしたが、諦めずにさらにカメラを追加して撮影を試みたところ、最終日にはすべてのカメラがシカやイノシシ、イタチなどの野生動物の姿をとらえることができたのでした
さて、いよいよ4日間のワイルドライフ講座も終盤。
最後はニホンザルの講義や実習で学んだことをふりかえりつつ、講座全体のまとめとして、
「人も野生動物も共に暮らすために私たちができること」
をテーマにしたワークショップが最後のプログラムとなりました。
獣害という地域の問題だけでなく、個性豊かな野生動物の存在について、「知る」こと、現場で「感じる」「体験する」こと、できることを「考える」こと、そして「行動する」ことが必要で、さらには目指すべき方向性や全体で共有できる「目標」や「価値観」が必要だということも確認できました
さて、名残惜しいですがプログラムも終了です。
1人ずつ、初日に掲げた個人目標をふりかえりつつ、この4日間で得たことや感想について共有します。
参加者のみなさんの気づきや新たに得た知識、価値観を聞いていて、今回のワイルドライフ講座の企画趣旨が達成されたことを実感しました。(参加者の感想については、また別途紹介したいと思います)
最後に、折り紙の才能素晴らしい(即席でシカやサルも折ってくれた)中学生から一人一人へ折り鶴をプレゼント
丹波地域だけでなく全国から参加してくれた野生動物との共生を目指す仲間との交流が今後も拡がっていけばうれしいです。
唯一、集合写真を撮るのを忘れたのが心残りですが、3泊4日のとても充実した講座となりました
野生動物の個性やそれに迫る研究や行動観察の魅力をとてもわかりやすく伝えていただいた講師のお二人にも感謝いたします
今回私たちにとっても、初めての企画でしたが、来年はさらによいプログラムを改善し、人も野生動物も共に暮らせる地域をつくるための、次世代を担う人材育成に努めていきたいと思います
●丹波の森ワイルドライフ講座●
丹波篠山市内での座学・実習を通じて、野生動物本来の生態や生態系の構成員としての役割について理解を深めます。さらに、人と野生動物の歴史や現代における課題を知り、人と野生動物が共生可能な社会の在り方について考える集中講座です。