大山小のスイカを守れ!⑤

【小学生と取り組む獣がいプロジェクト】

大山小学校の5、6年生と一緒に大山の特産品のスイカを野生動物から守るプロジェクト。

6月14日 いよいよスイカ畑を守るための対策の実践!💪

今回設置したのは、「楽落くん」という埼玉県農業技術研究センターで開発されたアライグマ、ハクビシン等の中型動物に対応した獣害防止柵です。

小学生たちがスイカを作っている圃場は、周囲にしっかりとした金網柵で囲われているので、シカやイノシシはまず入ってきません。サルも出ない場所です。事前に仕掛けた自動撮影カメラでは、タヌキとキツネが映っていましたが、その他アライグマやハクビシン、アナグマなどの被害が想定されます。

そこで、中型動物からできるだけ省力的に守れて、作業性もよい防護柵として今回「楽落くん」を設置しました。

この柵は高さ約40cmしかありません。この40cmというのがミソなのです。

埼玉県農業技術研究センターの実験によると、中型獣は障害物が低いと「飛び越え」ようとしますが、障害物が高いと前肢をかけて「乗り越え」ようとします。ちょうど35cmの高さが、「飛び越え」か「乗り越え」に迷う高さだそうです。その結果、鼻でにおいを嗅いだり、触れたりする探査行動が引き出されて、その上に電気が流れている線があると、触れて感電しやすくなります。

そんな微妙な動物の心理を巧みに利用した柵なのです。

詳しくは↓「楽落くん設置マニュアル」を参照してください。
https://www.pref.saitama.lg.jp/…/104427/0329rakuraku3.pdf

40cmと低いので、大人はもちろん5,6年生でも跨いで出入りできます。設置も簡単、農作業もしやすい作業の効率性も考慮された柵です。

ただし、常設を前提としているわけではなく、動物が狙ってくる「収穫時期限定」で一時的に設置し、収穫が終われば撤収します(その方が動物に馴れさせず、効果が持続します)。

大山小学校のふるさと教育のスイカ栽培は毎年5,6年生が取り組んでいますので、今年収穫が終わったら撤去し、また来年同じように設置します。来年はきっと今年の5年生がリードして、新5年生にやり方や仕組みを教えてくれるでしょう(期待!)。

地上からの野生動物の侵入は守れても、上空からはカラスが狙ってきます。カラス対策としては「黒い細いテグス」を2mおきに平行(できれば格子状)に設置すると有効です。黒い細いテグスはカラスにとって見えないので、カラスが畑に舞い降りようとすると、何も見えないのに羽が引っかかるので、敬遠します。こちらは、山梨県総合農業技術センターが実証試験を行い効果を確認しています。

ただし、人間も引っかかりやすいので注意しましょう。

上記の作業をみんなで実施して約70mの圃場を、約90分で完了しました。

最後は恒例!?の電気柵ピリピリ体験。

直接触るのは痛すぎるので、雑草を使ってピリピリを感じる程度に実感です。直接触らず、電気を通しにくい靴などを履いた状態でこの状態。素足の野生動物が触ったら、どうびっくりするか?と想像します。

電気柵は電気が流れていないと意味がありません。柵に対する動物の警戒心を消失させ、馴れを促進してしまうのでむしろ逆効果です。電気柵にはいつも適切な電圧を通電させておくようにしましょう。

というわけで、今回はこどもたちと一緒に、中型獣対策とカラス対策を実施しました。大山の特産品のスイカをしっかり野生動物から守って「小学生が地域にモデルになろう」が合言葉です!

最後に、中型獣がやってきて電気柵に感電して侵入を防止するのを撮影するために、自動撮影カメラを設置してきました。

さて、結果はいかに・・・?(ドキドキ)

【これまでの経緯と目指すこと】

大山小学校ではふるさと教育として、5、6年生が地域の特産品である大山スイカの栽培に取り組んでいます。

ところが、せっかく栽培しても鳥獣害にあってしまい、なかなか収穫までできない状況になっているとのことです。昨年は全滅だったとか。

そこで、こどもたちに収穫の喜び、美味しい大山スイカを味わってもらいたいということで、相談があり、大山小学校と大山振興会と丹波篠山市とさともんの4者で協力して取り組むことになりました。このプロジェクトでは、以下のことを目指して支援していきます。

①自動撮影カメラを設置して、子どもたち自らどんな野生動物が生息しているか調べてもらう。動物種が判定できるようになる。

②丹波篠山市の獣害の問題や農村の課題を知ってもらう

③簡便かつ安価にスイカを守る方法を小学生自ら実証して、同様に特産品のスイカ被害に困っている地域の方にも紹介できるようにする

④小学生も自ら学び、体験し、地域に貢献する。丹波篠山の「獣がい対策」をPRする(第4回獣がいフォーラムで発表する等)。

小学生にも獣がい対策に関わってもらう良い機会!大山の美味しいスイカをみんなで味わえるように支援していきたいと思います👍