4月からさともんスタッフになりました、田村が報告させていただきます。
午前の草刈りを終え、午後からは篠山チルドレンズミュージアム(以下、ちるみゅー)で開かれた神戸大学大学院人間発達環境学研究科・里山共生講座キックオフフォーラム「森に還ろう」に参加しました。
本講座は、丹波篠山市生まれの霊長類学者・河合雅雄さん(令和3年5月にご逝去)が描いたふるさと像を基盤に地域づくりを進める丹波篠山市を主なフィールドに、
人間中心の視点を超えて、人間を含むあらゆる生物のウェルビーイングに焦点を当てる「マルチスピーシーズ学」の構築を通じて、里山の生き物と人々の共生に資する「多様な学び」を展開し、里山共生社会を支える人材育成に取り組むことを目的として開始する教育研究プログラムです。

第1部 クロストーク 「森に還ろう」
第1部では、開会挨拶と本講座の概要説明、メンバー紹介の後、
山極寿一さん(総合地球環境学研究所所長)と垣内敬造さん(ちるみゅー館長)によるクロストークが、清野未恵子さん(神戸大学人間発達環境学研究科/里山共生講座 講座長・さともん副代表理事)のコーディネートのもと行われました。

山極さんは冒頭、奥山(森)と里山の違いについて言及され、ご自身の研究フィールドであった奥山は緊張感があり、森に入ると人間の弱さ、小ささを知ると述べられていました。
その一方で里山は、里が近く身近で開けた環境であり、山極さんご自身が研究中に奥山で生き長らえたのは、子どもの頃の里山経験があったからこそであり、森での緊張感は里山で培うことができるとお話しされていました。
垣内さんはかつての学校林の存在・役割に触れ、ちるみゅー内にあるごんた山(里山)では子どもたちが生物採集を楽しみ、生物を家に持ち帰りたい子どもがいた場合は、(かわいそうではあるが)一度持って帰らせているといいます。それは、子どもたちが命と向き合いながら命を知り、学ぶためであり、そうした意味のある場所にしていきたいとお話しされていました。
第2部 ワークショップ 「ハカセといっしょに森を感じよう
休憩を挟んで第2部では、サル・植物・昆虫博士の案内のもと、2つのコースに分かれてちるみゅーの裏山「ごんた山」を探検しました。



ごんた山はちょうど新緑の季節を迎えており、地表からは新芽が顔を出し、若葉があちこちから芽吹いていました。
山頂付近ではコバノミツバツツジが針葉樹の間で咲き乱れ、眺めの良い場所からは芽吹いたばかりの若葉が見事なパッチワークをつくっていました。
ごんた山では木の葉や花、昆虫などを集めて、探検後に大きな絵を作りました。
私自身、本フォーラムで特に印象的だったのが、自然にはその環境なりの「作法」があるということです。
山極さんは今や害獣扱いとなったニホンザルについて、元々は神の使いとして信仰されてきたことに触れ、江戸時代、里山は資源利用などが要因ではげ山となっていたためにニホンザルはより奥山に生息していたとし、人間との心理的な境界がつくられてきた歴史があると述べられました。しかし、そうした心理的障壁は人間による餌付けで崩壊し、人間のいる里には餌があるとニホンザルが学習したことで昨今の獣害被害が発生していると指摘されていました。
山極さんの研究フィールドであるアフリカのジャングルでは、サバンナのように視界が開かれていない閉ざされた環境のため、動物たちは五感で双方の様子を確認しているそうです(ゾウは耳のほか足の裏でも振動や音などを感知しているそう)。
このように生き物たちが長い年月をかけて各々の環境に適応し身に着けてきた力、すなわち作法を私たち人間が丁寧に理解したうえで行動すること、それが本講座のキーワードであるあらゆる生物のウェルビーイング、里山共創社会の実現への第一歩になるのではと感じました。
さともんは今後、神戸大学大学院人間発達環境学研究科里山共生講座との連携促進に取り組んでいきます。
豊かな里山生態系が満ち溢れる丹波篠山の地で、里山と対話し里山の作法を知る、自分(人間)を知る、そうした学びの場づくりに向けて皆様とともに励んでまいります。